生きてくだけで息も絶え絶え

人並みの生活って大変だ

やめたこと

 いくつか、この11月に入ってやめた事がある。無理をすることと、ごまかすこと。大まかに言うと、この2つになるのだけれど。

 彼の文豪が恥の多い人生だったと言ったが、自分は嘘の多い人生だった。1つの大きな嘘を隠す為に、数えきれないほどの小さな嘘をつきながら生きてきた。おそらくまだ、その中で生きている。

 自分でそれが嘘だと言うことにさえ、気付かないでいた。本当のところに気付いたのは、今の話だ。口をついて出た、呼吸するようについた嘘は、もしかするとそうありたいと願う姿だとか、こうなりたいと思う理想だとか、そういう明るい類のものだったのかもしれない。

 しっかり者でひとりにしても大丈夫。そう言って安心する家族には寂しさを口にしなかった。友人に構って欲しくて嘘泣きを繰り返したら嫌われて、以降遊ぼうと言わなくなった。部活はサボっても辞めると言わなかった。おそらくどれも、言いたかった。

 寂しくない、ひとりでいい、辞める気はない、なんて全部が全部嘘だった。過去のどこかでそれを口に出来ていればどうなっただろう。考えても時間は戻らない。気付いたのは大学を決めた時だ。女への恐怖心や、男からの疎外感とは、一生付き合っていかなければならない。嘘をついて、ごまかして、自分から逃げていたのは他ならぬ自分自身だったのだから、その責任は一生かけて追うべきだ。

 あの頃の嘘を、否定するのは間違いだ。当時はそれを、嘘だということにさえ気付いていなかった。家族には「『育て方を間違った』は言わないで欲しい」と伝えている。ならば自分も、生き方を間違ったと言うべきではない。知らぬ間に自分の首をしめていた自分だからこそ、今ここで、かろうじて生きていられるのだと思う。

 死んだ方がマシだと思う程、自分の内側を見つめることは苦行だ。そこには恐ろしく未熟で未発達な、くりんとした目の幼い自分がいる。この自分を歪めたのは自分だということを、努努忘れてはならない。

 笑いたくないのに笑わないように。虚しさだけで泣かないように。疲れて心を殺さないように。